社会福祉法人岩手更生会緑生園は、岩手県で初の民間による施設です

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ラグビー活動について

緑生園とラグビーの出会い

 緑生園とラグビーとの出会いは40年以上も前。岩手国体が開催され、そのラグビー競技に招待されたことがきっかけです。
緑生園は、当初は、精神薄弱者援護施設として開設され、生活指導、職能指導、学習指導を3本柱としていました。しかし、体力作りと心身を鍛える運動に力を入れなければこれらの効果が得られませんでした。そのような時にラグビー競技と出会ったわけです。
緑生園創設者中野芳幸は、「ボールを持ったら一歩でも前へ」と、とにかく前進するラグビーで強固な精神力を培わせようとしました。
さらに、協調心、闘志や根性、礼儀などもラグビーで学べると考えました。中野園長は常々「ラグビーを教えるのではない、ラグビーの精神を教えるのだ」と話していたそうです。

ラグビーがもたらした出会い

 1973年には日本ラグビー協会に登録されました。その後、盛岡消防署チーム、盛岡福祉事務所の職員が中心となったチームとの交流戦が始まり、今もなおその交流戦は継続されています。
 1974年には新日鐵釜石チームの胸を借りて一戦を交えることができました。新日鐵釜石は、連勝の度ごとに、緑生園を訪問し、スクラムを組んでもらいました。2001年釜石シーウェイブスというクラブチームになったあとも、緑生園のグラウンドで2月に行われる冬の雪上戦にもチームのメンバーがかけつけてくれます。シーウェイブスの選手に2人3人4人と束になってタックルに向かっては、ずるずると引きずられるという園生にとってのお楽しみになっています。
 そして、緑生園ラグビーの最大の出会いはなんといっても「ぜんかいビアーズ」でしょう。1991年観光をかねて岩手へ来たことがきっかけとなり、今年で24回目の交流となりました。2001年には、このぜんかいビアーズの協力で、NZ遠征が計画されました。さらに2年後にはNZチームを日本に招き、試合を行っています。1度目、2度目の試合では勝利を得ることができませんでした。そして2005年NZへ再び遠征となります。
2度の敗戦を経験した彼ら、打倒NZを合い言葉に、走り込み、体力強化に励みました。大きい相手に勝つための「全員でのディフェンス」「バックスに展開し走り勝つことを目標に練習してきました。絶対に負けられないという思いで望み、大きい相手に束になってぶつかり、倒されても倒されても前へ前へと走りました。そしてノーサイド。悲願の初勝利です。

ラグビーがもたらす効果

 ラグビーが彼らに与えるものはたくさんあります。例えば日常の作業。緑生園では農作業に力を入れていて、畑の草刈りや耕起は刈り払い機や管理機などの機械を使用します。なかには、機械を使えない方もいますがそういう利用者も自分ができることをします。職員が教えたわけではありませんが、出来ない人のことを助けようとする姿勢はやはりラグビー練習から自然に培われたものではないでしょうか。弱い立場にいる方のフォローをさりげなく行うことができます。これが、one for all all for one の精神で、彼らが生きてゆく力になっています。
 また、緑生園のラグビーは、交流試合を通して大きな社会参加になっています。
ラグビーを通して多くの人たちと触れ合い、ここから社会人として多くを学ぶことができるのです。
 そして最後にラグビーの魅力は、それぞれの個性に合わせたポジションがあり、それぞれの役割を果たすスポーツであるということではないでしょうか。体格に恵まれた人もいれば、そうでない方もいます。運動能力が高い方もいればそうでない方も。トライした選手だけに脚光を当てるのではなく、それ以前に相手にプレッシャーを与えた体の大きい彼、思い切ってタックルに向かって相手をひるませた彼、密集の中のボールを味方に回すために相手にぶつかった彼、キックで少し距離をかせいだ彼、自慢の足を生かしてサイドを突破した彼、一人ひとりの役割を果たし、一人ひとりに賞賛の声が向けられ輝くことができるのです。

緑生園には、利用者で結成されるチームの他に、緑生園を卒業して社会人となっている方で結成された「緑生園OBクラブ」があります。

試合の前にはみんなで円陣を組みます。

交流を続けて20年以上になる東京のクラブチーム「ぜんかいビアーズ」との交流戦は、毎年10月に行われます。
緑生園ラグビーの最大の出会いであり、強い友情で結ばれています。
園生チームもOBチームもこの日のために練習を積み重ねるのです。

ぜんかいビアーズの大きな選手には何人も束になってタックルに向かいます。

試合の後には緑生園でアフターファンクションを行います。緑生園自慢の豆腐を中心とした手料理でおもてなしします。

毎年5月には岩手県内の40代以上のラガーマンで結成されている岩手不惑チームとの交流戦があります。近頃では迫力ある試合が繰り広げられ、どちらも負けられないという思いで試合に挑みます。

26年5月には全国消防ラグビー大会に招待され、OBチームと試合を行いました。

毎年8月には宮城県蔵王町のくるみクラブでの合宿に参加しています。

合宿では、プレーだけではなく、ラグビー精神やマナーを学ぶ機会となっています。
大学生とのふれあいも楽しみのひとつです。

10月には盛岡消防署チームとの交流戦があります。

11月の山田ホエールズとの交流試合
震災前は夏に山田町に出向き、交流試合のあとに海水浴やバーベキューを楽しみました。
震災後は11月に盛岡に招き、試合を行ったあとに緑生園で交流会を行っています。

2月には「伝統の雪上戦」が行われます。
これは盛岡市の福祉事務所のチームとの交流戦がスタートで今年で30年目を迎えます。
現在では全国のラグビー愛好家が集結する一大イベントとなりました。